ロマ3ダヨ! 白雪姫 1


 それは、ある国の物語です。
ソレは大層美しい白雪姫と呼ばれた美しい姫君がいました。姫は、整った顔立ちと錦糸のような黄金色の髪を持ち、空よりも蒼い瞳は誰よりも強い意志を秘めていました。そして、国中の注目を浴びている存在でもありました。だが、父王の再婚相手である義母とは相性が非常に悪く、その母は姫の美貌に嫉妬をしていました。
 そして、義母の嫉妬する気持ちは次第に強くなっていき、白雪姫の暗殺を目論みました。しかし、姫のほうから先に『外出』と称して城を出て行ってしまいました。白雪姫は、大の外出好きである事を義母は全く知りませんでした。焦った義母は急ぎ、姫の所在を知るために部下を送り、ついでに暗殺を命じました。 
 けれど部下達は、姫が森の奥底に消えて行った事を知り、森で起きる数々の報告を思い出すと同時に、屈強に鍛えているはずの部下達は全員青ざめた表情で義母である王妃の元に帰ってしまいました。
「どうしたのですか、そのように青ざめた表情で・・・。 まさか姫を取り逃がしたのですね? 答えるのです、さあ」
 王妃は部下たちの報告を耳にして暗殺以上に厄介な森に姫が迷うことなくさっさと入ってしまった事を知り愕然としました。
 が、森から無事に生還した者もタダでは済まされない事は、この国では有名な話でありました。つまり、白雪姫の暗殺をしたも同然であると結論を下したのでした。しかし、これから厄介事が起きようとしていることは、誰も知ることはできませんでした。


 一方その頃、姫は王妃の部下たちが青ざめた表情で引き返した森の中を歩いていました。
姫は城を出る前に父王のへそくりや金庫からいくらかの資金と怠惰な兵士達が隠し持っていたあるモノを処分しようと考えて持ち出していました。まさかそれが役に立つとは現在、城出した白雪姫には知る由もありませんでした。姫は、そのまま城に近い森の奥深くまで足を進めて行きました。
 そこで姫が目撃したものは・・・?
長い黒髪を白い紐で結わいている褐色肌の漢が突然、森の奥にあった小屋から出てきたのです。そして、姫に声をかけました。
「そこの姫君、ここは小人の住む森と知って来たのだろうな?」低い声音が森に響いた。
「ん? この森には小人が住んでいると聞いていたが、お前がそうか? 答えよ」
 褐色肌の小人が声をかけて早々、白雪姫から先に質問を浴びせた。
「だぁーっ!!! 俺より先に質問をするな!」
 褐色肌の小人が姫の先制の質問を浴びせられて、話の主導権を奪われて怒鳴りました。
「よう、ハリードの兄貴どうした? ん、俺たちを知っているようだな? 一体何のようだ?」
 褐色肌の声を聞いた小屋から出てきた、赤いハットと赤い鎧を派手に着込み。目にはゴーグルを掛けている長い巻き毛の大漢と呼んでも良い小人の仲間が二人の間に割って入ってきました。
「おう、弟分のウォードか! 見てのとおり、俺たちの森から近隣諸国の姫君が来訪のようだ」
 褐色肌の小人が、兄弟と呼んだ小人に来訪者の素性を簡素に述べました。二人の会話を聞いて、黒い髪をボサボサに伸ばし、赤いバンダナで片目を隠し見るからに海の漢と呼んでもよいような小人が小屋から出てくるなり二人に加わわりました。
「なんだなんだ? ハリードとウォードの兄弟たちよ。 お、こいつは服装と言い、育ちの良さといい、上等の人質だな!」
 隻眼の小人は物騒な事をさも当たり前の事のように口にしました。
「ほう。  お前達が我が物顔で広大な森を仕切っている有名かつ、この上ない迷惑千万な小人の一味だな! 沈黙は無礼であるぞ、答えるのだ!」
 3人の言動から察した白雪姫もまた、両腕を組みながら持って生まれた誇り高く威厳のある口調と相まって尊大な態度で応じたのでした。
「・・・お前は相当手強いな。 ついでに態度もでかい。 ブラック、ウォード、こいつは厄介だぞ」
 一目見たハリードは、相手を見抜き呟いたのだった。
「当たり前だ。 数々の刺客を潜り抜けて来たのだ。 お前達に引けを取る覚えは無い」
ハリードの呟きに対して白雪姫もきっぱりとにべもなく言い返しました。

 3人より少し遅れて刺のあるメットを被った茶髪の小人が金髪の姫君を見つけてこう言いました。
「あ、ボスに親分と兄貴どうしたんすか?あ、客か・・・俺はポールだ!でもやっぱり、ニーナの方がずっといいや」と。そして、のんびりと口笛を吹き始めました。
 ――ポロロ〜ン♪
「一曲いかが? ルルル〜♪ ブベェッ!!」
 背中に太陽が不気味に微笑んでいるマントを羽織った、暑苦しいこの上ない服装の小人が自慢のフィドルを引きながら歌を聞かないかと白雪姫に迫ってきました。と、そこへ黒いマントを派手になびかせ黒い覆面に『R』と赤いアップリケが目立つ恰幅のある体格の小人が割って入ってきました。
「お前はジャマだ! そこをどけ! ハハハハハハハハ・・・天知る! 地知る! ロビン知る! 正義の味方に何か用があるのかね」
 用も意味も無い事をさらりと言ったのでした。デブロビンの背後から、彼を押しのけて緑色の髪の小人が出てきました。
「うわぁ〜美人さんだぁ〜vv 今日ってラッキーデーだったのかな♪」
 緑髪の小人が明るい口調で歓迎しました。

 そう、彼らは7人の小人達だったのです。
だが緑髪の小人以外は、暑苦しい上にむさ苦しく、なによりも汗臭かったのでした。緑髪の小人が興味深そうに見つめている。
「・・・私か。 私はミカエルだ、覚えておくと良い」
 ミカエルは素っ気無い口調で事務的に答えました。
「ミカエル様ですね!」緑髪の小人は、目を輝かせました。
「で、お前は? 私は名乗ったのたぞ、お前も名乗れ」
 緑髪の小人の視線に目もくれず、ミカエルは抑揚の無い声で事務的に問い掛けました。
「はい、オレはユリアンです!! ところでミカエル様は何を持っているんですか?」
 ユリアンは、ミカエルが手にしていた物体が気になり質問をしてみました。
「・・・ああ、これは処分をしようと思って城から持ち出したのだ」
 今にも破いて捨てようとしている本をユリアンは手に取りました。
「わぁ〜。 美人のお姉さん達の水着や下着の写真がいっぱいだぁっ〜〜vvv」
 ユリアンは、嬉しそうに眺めていました。
「・・・気に入ったのか?」
 ミカエルは、金色の眉根を寄せながら怪訝そうに呟いたのでした。
「はい、うへへ・・・vv」鼻を伸ばし声が続かないユリアン。
「気に入ったのだな・・・仕方の無い奴だ。 こんな本、お前にくれてやる」
 ミカエルは、処分しようとしていた本をユリアンに上げてしまいました。
「ありがとう御座います! オレ、ミカエル様のためなら何でも言うことを聞きます!!」
 本を貰って嬉しそうに、下僕となってしまったユリアン。
「よし、ユリアン。 今日からお前は、私の家臣にしよう」
 ミカエルは、ユリアンをさっさと家臣に取り立ててしまいました。
「本当ですか! ありがとう御座います! オレ、ミカエル様の為なら何だってやります!!」
 家臣に取り立ててもらったユリアンは、嬉しそうな声を上げました。

 二人のやり取りを見ていたハリードが声を荒げました。
「おい! ミカエル! ここはオレのテリトリーだ! 勝手な真似をするな!」
 ハリードに続いて義兄弟の契りを結んだブラックが続け。
「おうよ兄弟の言うとおりだぜ! ここは俺たちの島だ! 勝手に仕切るな!」
 さらに巻き毛のウォードも契りを結んだ兄弟のブラックに続き。
「そうさな、ここは俺たちの森だ。 勝手にしてくれちゃぁ困るぜ。 俺たちと話をしたいなら、それなりのビジネス料を支払いな」
 主に森と小人達を仕切っている3人の大漢共が、揃って野太い声を並べてミカエルに異議申し立てをしたのでした。汗臭い3人を前にミカエルは。
「フン、ならばこれでどうだ」
ミカエルは冷めた表情と感情の篭もらない声で静かに言い放つなり懐に手を伸ばした。
 ―――そして、チャリーン!! じゃらじゃらじゃら・・・
懐から1オーラム金貨を100枚投げ捨て派手な金属音が床に広がりました。黄金色のお菓子ならぬ、本物のおカネが小人達の足元に広がって行き。
「うぉーーー!! カネだ! このカネはオレのだ! いんやオレのだ! 触るんじゃねぇ!! いっきょ・・ベバァッ! 落し物は・・・ブフォッ!!」
 6人の小人達は、白雪姫が床にばら撒いた100オーラムをがめつく奪い合っていました。
「フッ、これで商談は成立だな」
 暑苦しい奴らを100オーラムで買収した白雪姫は意地の悪い冷笑を浮かべて、がめつい奴らに視線を向けながらきっぱりと言い放ったのでした。
 こうして白雪姫は、迷惑な小人達の家に押しかけてある者を要らない本で買収後、家臣に取り立てるまたは、カネで買収して同居する事になりました。


 白雪姫が城から消えて数週間経ったある日の午後。
義母であるモニカは魔法の鏡を前にしていました。
 そして、鏡に向かって『鏡よ♪ 鏡よ♪ 鏡様♪ 世界で最も美しく輝いている方はどなたですか?』と命じました。鏡が写した人物は・・・なんと! 小人達が我が物顔で支配している森に消えた白雪姫が映し出されました!
「・・・まぁ、生きていたのですね。 暗殺に失敗したようですわね、それにしても。 それにしても、どうやって・・・。 小人達を支配していますわ。 あら、あの緑髪の小人は・・・」
 次第に言葉が消えてしまいました。
その時、妃の部屋のドアからノック音が聞こえ、来室者を部屋に招き入れました。
「あら、あなた顔色が悪いですわ。 何かありましたの?」
 モニカは鏡を布で隠し入室してきた夫である王に言葉を掛けました。
「・・・・・・モニカ。 お前ではないよな・・・ワシのへ・・ゲフン、いやなんでもない」
 王はシドロモドロに返事をしたのでしたが、その後また自室に戻った後玉座に行ってしまいました。
「・・・・・・何でしたの? 一体・・・?」
 部屋に取り残されたモニカは茫然と夫が消えたドアを見つめていました。城出した白雪姫が、王のへそくりを持ち出した真実をモニカは知りませんでした。間を置いて、義母のモニカは王の不信な態度に興味を抱き鏡に真実を映し出させました。
 どうやら、城出した白雪姫が関与している事を知り、誰も居ない王の私室に何が消えたのかを自分で探し出して見たいと思い至り夫の部屋に行ってしまいました。
そして、モニカは白雪姫の真実を知ってしまい、暗殺する意味を見出せなくなってしまいました。

 それから数日後、モニカは王と一緒に森で小人が起こしてきた数々の被害報告を聞き。
『あの小人は厄介ですわね、白雪姫と奴らとユリアンを分断させないと・・・』
と思い至り、魔法で老婆に化けて迷惑千万な6人の小人達の暗殺を試み森に向かいました。

 ミカエルが小人達の森に押しかけて以来、森は徐々に秩序を取り戻し始めていました。
近隣の住民達は、森を通り抜けるだけで法外な通行税を小人達に支払わなければならなかったが、白雪姫の出現により、住民達は安心して生活を送る事ができるようになりました。
 そして、この日もミカエルはユリアンを伴って森を歩いていました。そこへ腰をかがめている老婆を二人は見つけました。
「御老人、どうされました?」
 ミカエルがすぐに、静かな声で老婆に声を掛けました。
「婆さん、大丈夫ですか?」
 ユリアンもミカエルに次いで、心配そうに声を掛けました。二人の声に老婆は顔を上げ、腰を痛めている事を告げました。
「そうか、では小屋で休むと良い。 ユリアン、お前は右側をしっかりと押さえ、ゆっくり進むぞ」
ミカエルとユリアンは、老婆を小屋で休めるために連れて行きました。
「すまないねぇ、若い者に助けられるなんて。 わたしゃバイメイニャンだ。 お前さんたちは?」
 小屋に向かう途中、老婆は二人にを名乗ったのでユリアンは話し相手をしていました。
「ほう、アンアンか、でそちらはエルエルかの」
 バイメイニャンは、二人を略して呼びました。
「・・・その呼び方はやめろ、我々はパンダではない」
 ミカエルは冷たい視線と冷めた口調で言いました。
「あの〜ミカエル様、ハ・・ハハハ・・・。 婆さん、オレからも普通に呼んで下さい」
 二人の間に入ったユリアンは、疲れきった声で会話を繋げていました。そして、二人は老婆を連れて小屋に到着しました。一息をついた老婆は、持病の腰痛が収まった御礼にと、籠に入れていた赤く熟れた美味しそうなリンゴを差し出しました。
「御老人、御好意だけでよい。 そのような真似はしなくても気持ちだけで十分だ」ミカエルは丁寧に断りました。
「そう硬い事を言いなさんな。 これはわたしからの礼じゃ。 イヤでも受け取って貰うぞ」
 しかし、バイメイニャンも引かずにお節介にも無理矢理リンゴを押し付けました。そして、有無言わさず強引に、テーブルの上に置いたまま帰ってしまいました。
老婆が森の端まで歩みを進めた頃辺りを見回して誰も居ない事を察した彼女は、元の王妃の姿に戻りました。

 そう、老婆は義母のモニカであり魔女でした。
「これで、あの小屋に毒入りリンゴを置いて帰る事ができましたわ。 後は、あのリンゴを口にした小人達が居なく なれば、ユリアンは私のものに、姫はどこか良い相手を紹介さえすれば・・・」
どこかずれた目的なのだが、魔女モニカは毒リンゴを置いて帰る事に成功しました。




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