竜鱗とデブロビン
ポドールイから遥か西の靜海地方のループ山地が良く見える平原にて。ハリード達は、レオニード城から持ち帰った竜鱗をニセの怪傑ロビンから引き剥がす所だった。 「なんだよ、これは! ハマった腹から剥がれねぇじゃねーか!」 ハリードは、悪態を付きながら言った。そこに、ぽろ〜んと詩人が自慢のフィドルを響かせた。 「正義の味方 太った怪傑ロビン〜♪ 腹に竜鱗 ハマって離れない〜♪ 出べそが見えなく〜♪ それも寂しい〜♪ ルルル〜♪ オゴォッ!! ドゥヒィッ!!」 「おい、てめぇ。 下手な詩を歌ってないで手伝え! ボケ!」 ブラックは、イライラしながら詩人を殴りつけたのだった。だが、詩人は怯まずに・・・。 「鱗をつければ思い出す〜♪ 聖王とドーラの暑き友情〜♪ でも、今ではデブロビン〜♪ ルルル〜♪ グハァァ!!」 >たこ殴りにグゥエインも参加(作:霜月葵さん☆) 気が済むまで全員で詩人をボコ殴りにした後。グウェインは彼らの視線が自分に向けられる事を察して、速やかに飛び去ってしまった。ここで飛び去らなかったら、今頃きっとグウェインは・・・。骨も鱗も残らず、彼らの胃袋の中に入っていた事だろう。 「こいつは、ハマりすぎて取れねーな」ブラックは、ボコ殴りで吹き出した汗を拭いながらこう言ったのだった。 「おい、ポ−ルとヘボ詩人。 お前らは、ロビンを後ろからガッシリと押さえていろ!」 ウォードは、野太い声でこう言った。 「イエッサー、親分!」ポールは気軽に返事をした。 「・・・・・・」詩人は、殴られてあちこちが痛むらしく声を出せなかった。ポールと詩人が、冷汗を噴出して嫌がるデブロビンを後ろから押さえつけた。そこへハリード、ブラック、ウォードの3人がロビンの腹にハマってくっ付いた竜鱗を力任せに思いっきり引き剥がした!!
―――そして。 「ギャアァァァァーーッッ!!」デブロビンは、マンゴトラも驚くような悲痛な悲鳴を上げた。 「・・・腹が真っ赤だ」沈黙がしばらく続いた後、ポールの第一声がようやく出たのだった。よく見ると、デブロビンのお腹の皮が全部剥がれていたのだ。 「唾を付けていれば、そのうち治るさ」ウォードが冷静に言った。 「それよりよ。 竜鱗に付いた皮を剥がさねえと、売りモンにならねぇぞ」 ブラックが剥がした竜鱗を見て深刻そうな一言を聞いて。 「ポール、お前は手先が器用だろ。 皮剥がしを手伝え」ハリードはすぐにポールを手伝わせた。 「うへっ・・・脂だらけになりそう」ポールは指に付いた匂いをかいで顔をしかめて言ったのだった。 先ほどのボコ殴りのダメージが癒えた詩人は、彼らをよそ目に・・・。 「竜鱗剥がれた みんなのヒーロー怪傑ロビン〜♪ 腹の皮が 全部剥がれて イタイイタイ〜♪ 竜鱗持ち帰った腹は 今では真っ赤っか〜♪ ルルル〜♪ ブヒョッッ!! ベフゥッ!!」 涙目を浮かべて詩人を思いっきり殴りつけたロビンだった。 「チィッ! こいつを殴っても、腹の痛みが納まらんわ」 デブロビンが悪態を付きながら、詩人を殴り続けていた。 詩人はこの日歌っただけ、殴られたのだった。
〜今度こそ、お・し・ま・い♪〜
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